水彩画 　　「refusion」F 8号 若松愛子 水彩画描法による抽象画、というジャンルを確立した第一人者。 この作品は正に、その確立されたヨーロッパ正統の流れを継承する、純度の高い抽象画の典型です。正統的な抽象画というのは聞きなれないかもしれませんが、中世の宗教的なフレスコ画などの頃からすでに、絵画の中心部分というのは、精神性や内面の表現の中心部分として、作品の中心点を必ず(遠近法で)求める、という何世紀にも渡る伝統があります。その中心へ向かう求心性と、全く逆に周辺へと拡散して行く、新しい時代とか、新しい歴史の展開などを示す、巨大なビジョンというものは拡散・遠心性という方向で表されます。この二つの逆の方向性が緊密なバランスを取って表されるのが、ヨーロッパの芸術の緻密さと、尽きることのない面白さだと言えます。(アメリカの抽象画やモダンアートと言われる芸術は、そのまま宇宙へ広がるようなロールオーバーと言われる表現形式がとても多く見受けられます。例えばジャクソンポロックとか。 また日本の抽象画というのは面白いもので、言ってみれば絵模様とか、流れるような天の川のような絵模様が抽象画として受け取られています。どちらかと言うと着物の柄のようで、あまり抽象画とは言えないものが多いのです。) ◎この作家の20～40号あたりの記念碑的な大作となると、既にもうアメリカの美術商間の評価が跳ね上がってきて、私などには8号以上のものは扱えず、小品ばかり、となりつつあります。